2004.04.23 スロットで消費者金融から借金、強盗殺人

被告人は,高校1年生のころ,初めて遊んだスロットで勝ち,以後スロットに夢中になり,小遣いの範囲内で遊んでいたが,就職してから本格的にスロットで遊ぶようになり,20歳のころから,いわゆる消費者金融から借り入れた金員をつぎ込み,合計約450万円の債務を抱えてしまい,平成10年2月ころには,弁護士を訪ねて自己破産し,勤務先の前記ガラス工事会社から120万円もの金員を借りて同弁護士事務所に預けるなどした。しかしスロットをやめられず,給料のほか,実母や消費者金融からの借金などをスロット遊びにつぎ込む一方,前記婚姻した妻には,自己破産したからもう借金はできないなどと言って,消費者金融等から借り入れていることを隠してきたが,平成14年10月ころには,返済に行き詰まり,高利貸しから金を借りたことが妻や義父の知るところとなり,義父からは今後同様のことがあれば娘と離婚させる旨申し渡された。ところが,それでもスロットをやめられず,平成15年3月ころからは前記臨時アルバイト先の会社から仕事の依頼が少なくなり,同年夏ころには仕事が全くなくなってしまっても,それまで行っていたように,妻名義で消費者金融から借金をして生活費等に充てる一方,実家の両親から借金したり,前記臨時アルバイト先の代表者からも合計31万円を借りるなどして,暇にまかせて昼間からスロット遊びをし,被害者の下で稼働するようになっても,相変わらずスロット遊びを続けていた。そして,仕事の予定がない日にも,妻には仕事に行く旨嘘をついてスロット店に赴いていたことから,その嘘を取り繕うため,その分の日当相当額も妻に渡さなければならず,これをスロットで稼ごうなどと考え,ますますスロットにのめり込む。被告人は,同年12月初めころ,被害者に対し,「日当をスロットで使ってしまいました。女房に生活費を入れなきゃならないので貸して下さい。」などと言って借金を頼み,平成16年1月末までに返済する約束で10万円を借り受け,さらに,同月中旬ころには,新たに35万円を被害者から借り受け,先の借金と合わせて合計45万円を同年3月20日ころまでに返済すると約束したが,これらの金員の一部は妻に渡したものの,残りはスロットに使うなどして全て費消してしまい,上記約束の期日までに返済金を用意することができず,被害者から同月末まで返済期日を延ばしてもらった。しかし,被告人は,同月末までにも返済金を用意できなかったことから,1か月くらい返済期限を延ばしてもらうおうと考え,「今,親に相談してますから,4月20日ころまで待って下さい。」などと被害者に頼んで了承を得たものの,同月5日に被害者から日当を受け取った際,金のありがたみが分からないのだから,借金を返済するまで金のない生活をしてみろなどときつく言われ,同日以降は,被害者から,それまで日払で受け取っていた日当の支払を止められてしまった。なお,被告人は,同年3月末までの返済ができなかったときに,被害者に,日当の一部を天引きして返済に充てて欲しい旨申し入れ,その後日当を受け取った際,被告人の計算によれば,稼働した日数と比べて渡された日当が2万円くらい少なめだったことから,被告人の申し入れのとおり,被害者が2万円くらいを天引きし,借金の返済に充ててくれたものと考えていた。ところで,被告人は,被害者に借金をしていることやその返済をしないために被害者から日当の支払を止められたことを妻に話しておらず,また,前記のとおり,仕事に行くと称してスロットに興じていたので,妻に渡さなければならない金員が嵩み,そのため,同年4月中,給料をまだもらっていないなどと言って,実母から合計約18万円,義父から五,六万円をそれぞれ借りるなどし,そのうちの一部を日当と言って妻に渡したが,残りの金員をスロットに費消するなどしてしまい,妻から給料を早く持ってきてよなどと厳しく迫られて困ったものの,借金を返さない状態のまま日当の支払を要求すれば,被害者から怒られるのが目に見えているなどと考えて,被害者に日当を支払って欲しいとは言い出せないでいた。被告人は,同月20日,被害者から電話で借金の返済を催促された際,ほとんど所持金がなく,金策の当てもない上,これ以上実家や義父から金を借りることもできないと考えていたのに,被害者に対し,「今日は遅くなる。親には話しているので,明後日でもいいですか。」などと嘘を言って同月22日まで支払期限を延期する了承を得たことから,何とかしてその日までに45万円を作らなければならないと焦り,同月21日には,3000円くらいを使ってスロットをしたが,金を増やすことはできず,2人の叔母にも借金を申し込んでみたものの,断られてしまい,さらに,電話で被害者と仕事の話をした際,金は明日できるんだろうなどと言われ,ますます焦りを募らせた。そして,被告人は,翌22日,前日に相談した叔母のうちの1人に直接会うなどして,再度借金を申し込み,仕事上の取引先の営業社員にも借金を申し込むなどしたが,いずれも断られ,さらに中学時代の同級生にも電話をかけて借金を申し込むなどしたが,結局,返済金を用意することはできなかったものの,被害者に対しては,金の用意ができたような振りをして,電話で「今日はもう遅いので,明日でもいいですか。」などと言って,翌23日朝までの支払猶予の了承を得た。しかし,被告人は,かねてから妻に対しては,被害者の都合で日当がもらえないなどと話していたため,同日帰宅後,日当分の金員を持ってこなかったことについて怒った妻から,「どうしてもらってこないのよ。」などと言って厳しく叱責され,「社長だって大変なんだから仕方がないよ。」などと嘘を言いながらも,妻の叱責に重圧を感じていた。(5)被告人は,同月23日朝,車で自宅を出発し,消費者金融の自動契約機から妻名義で5000円を借りようとしたが,カードの暗証番号を間違えたために引き出すことができず,わずか100円余りの所持金しかないまま,何とかして金策して被害者に借金を返し,日当を支払ってもらおうなどと考え,仕事上の取引先の代表者に借金を申し込んだが,断られ,さらに,前日に借金を申し込んだ中学時代の同級生からも借金を断られてしまったため,被害者から,同日に返済できないことで怒られるとともに,今後は仕事を回してくれなくなるかもしれない,そうすると生活できなくなるが,それは避けたい,しかし,もはや金策することもできない,日当がないまま自宅に帰っても妻から怒られるなどと思い悩んで追い詰められた気持ちになり,被害者から2度にわたって携帯電話に電話がかかってきてもこれに出ないでいたが,何とか被害者に謝って,返済を延期してもらうか,分割払にしてもらい,日当については少しでも払ってもらうしかないなどと考え,被害者に電話をかけ,まだ自宅にいるように装って,「今起きて,今から支度していきます。」などと被害者方へ行く旨を伝えたが,その際,被害者から,切るものがあるのでカッターを持ってくるよう言われた。被害者に対し,返済金を用意できなかったことを話した上,日当も幾分かでももらいたい旨頼んだところ,被害者が,そのような被告人の気持ちを全く理解しないばかりか,被告人を泥棒呼ばわりした上,両親や妻やまだ生まれてもいない子供を罵るなどしたのは許せないなどと考えて激高し,ズボンのポケット内のカッターナイフを握り,カッターナイフの刃を押し出した。

被告人は,A(当時53歳)から合計43万円を借りていたものであるが,同人を殺害して金員を強取するとともに,同人に対する債務の返済を免れようと決意し,平成16年4月23日午前10時30分ころ,仙台市a区b町c番d号所在の同人方において,同人に対し,その頚部等を所携のカッターナイフ(平成16年押第47号の1ないし4・なお,カッターナイフの刃3枚(同号の2ないし4)は,カッターナイフ(同号の1)に装着されていた刃の一部が犯行中に折れたもの)で多数回にわたり突き刺したり切り付けるなどし,よって,そのころ,同所において,同人を右総頚動脈切断により失血死させて殺害した上,同人所有に係る現金約18万8000円ほか37点在中の財布1個を強取するとともに,上記債務の弁済を免れて財産上不法の利益を得たものである。

被告人は,本件犯行後,飛び散った被害者の血液を拭き取るなどの罪証隠滅工作を行い,被害者の死体を被害者の自動車内に隠すなどして犯行を隠蔽しようと考えていたというのであり,被害者方を尋ねて来た者がいたことから罪証隠滅を断念した後も,逃走するか,死ぬしかないなどと考えて現場から立ち去ったというのに,被害者から奪った金員をスロットにつぎこむなどしているのであって,犯行後の事情も悪い。そして,被告人は,当公判廷において,前記のとおり,強取の故意や殺意を否認し,責任回避的な弁解を重ねているのであって,真摯に反省しているとは認められない。以上によれば,被告人の刑責は誠に重大である。

ガラス工丸山被告は2004年4月23日午前10時半ごろ、仙台市のガラス建具店経営者(当時53)の自宅で、経営者の首などを持っていた業務用のカッターナイフで突き刺すなどして殺害。現金約18万8千円などが入った財布を奪うとともに、経営者から借りていた 43万円の債務を免れた。丸山被告は不定期で経営者から仕事を請け負っていたが、43万円の借金のために給与を止められていて、支払いを催促し口論になったうえでの殺害であった。丸山被告は、「金品を奪う意思はなかった」として殺人罪の適用を主張していた。本間裁判長は、丸山被告が男性の首を狙って、カッターナイフで多数の傷を負わせていたことから、殺意を認定。「被告は公判で責任回避的な弁解を重ね、真摯に反省しているとは認められない」とし、自首による酌量も認めなかった。

  • 最終更新:2010-08-25 23:12:27

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