2006.10.13 遊ぶ金を得るため、隣室の老人を殺害

福岡県那珂川町の無職木下和紀被告は2006年10月13日午前11時半ごろ、アパートの隣室に住む女性(当時69)に「米のとぎ方を教えてほしい」と声を掛けて自室に招き入れ、米をとぐ女性の背後からネクタイで首を絞めて窒息死させた。さらに、女性のバッグから現金19000円の入った財布を奪った。 木下被告は、母親とその内縁の夫と3人で暮らしており、定職にはつかず、時々、アルバイトをしていた。母親と内縁の夫は10月4日から親族の看病のために家を留守にしていた。木下被告は犯行後、同町や福岡市の空き家などで寝泊まりしていた。 また、木下被告は「(逮捕された日に)もう1人殺して金を奪うつもりだった」と供述しており、県警に身柄を拘束された時、包丁を所持していた。 女性は1998年3月にこのアパートに一人で入居し、年金暮らしだった。(無期懲役判決リスト 2007)
2006年12月18日の初公判で、木下被告は人定質問と罪状認否で「言いたくありません」と述べた。 検察側は冒頭陳述で「木下被告は小説や漫画に影響されるなどして殺人願望を強め、パチンコや風俗店に行くための大金を得るのが犯行の目的だった」と指摘。さらに「人を殺して現金を奪って遊び回り、警察からも逃げ続ける『殺人マシン』のような生活をするしかない。隣室で質素な生活をしている笠井さんなら金をため込んでいると思い込んだ」とした。 弁護側は「心神耗弱状態だった」として責任能力について争う姿勢を見せており、簡易鑑定の実施を請求するしたが却下されている。 2007年8月6日の論告で検察側は「パチンコや風俗遊びの享楽を続けるために生命、財産を奪っており、身勝手極まりない。反省の態度を示さず、再犯のおそれは極めて強い。社会に放てば、第2、第3の犠牲者を生む」と述べた。 9月6日の最終弁論で、弁護側は「事件に計画性はなく、強固な殺意もなかった。衝動的、場当たり的なものだった」と情状面も主張。「事件当時、被告は心神耗弱状態にあった」などと有期刑への減軽を求めた。 判決で鈴木裁判長は「殺人願望を満たし、遊興費を得るための強盗殺人で、殺害後もさらに強盗殺人を実行するため牛刀を持ち歩いた」「ネクタイで繰り返し首を絞め、殺害行為を楽しむかのような様態。公判で『また人を殺してみたい』と述べ、反省が見られない」と指摘した。弁護側の心神耗弱の主張に対しては、「隠匿しやすいように、凶器には刃物を避け、ネクタイを選んだ」などと指摘し、責任能力を認めた。(無期懲役判決リスト 2007)

  • 最終更新:2010-08-04 02:09:22

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