2007.10.30 パチンコで自己破産の男、強盗殺人

埼玉県川口市の配管工、清田龍也被告は次の事件を引き起こした。2005年2月11日午後1時半頃、清田被告は川口市のアパートに住むアルバイト女性(当時22)宅に無施錠のベランダから侵入。寝ていた女性の手足を衣服などで縛って暴行、財布から1000円を奪うなどした。女性は首に1週間のけがを負った。2006 年9月22日午前2時20分頃、清田被告は川口市内のアパート2階に住む女子大生(当時19)方に無施錠のベランダから侵入。現金約12000円やキャッシュカード5枚などを盗んだ。女子大生は知人の女子高校生(当時18)と一緒にいたが、2人とも寝ていて犯行に気づかなかった。清田被告は22日に盗んだ高校生の学生証から住所を特定し、2006年9月24日午後、川口市内のアパートに住む女子高校生方に盗んだ合い鍵を使って侵入。居間にいた母親(当時51)にナイフを突きつけて「金を出せ」と脅したが、母親が抵抗したため何も奪わずに逃げた。2007 年7月26日午後11時30分頃、清田被告は川口市のアパートに住む20代の女性宅に無施錠のベランダから侵入。寝ていた女性の手足を衣服などで縛って暴行し全治1週間のけがを負わせ、現金とキャッシュカード5枚を奪い、近くの現金自動預払機(ATM)から現金約95万円を引き出した。2007 年10月30日午後6時45分頃、清田被告は川口市のアパート(26日の強盗強姦事件と同じ)に住む会社員の女性(当時26)方に無施錠のベランダから侵入し、室内を物色。約30分後に帰ってきた女性の背後からカッターナイフを突きつけて脅し、カーディガンで後ろ手に縛った。財布から現金約8千円とキャッシュカードなどを奪った後、室内にあったシャツを顔に巻き付けて、手で首を絞めるなどして殺害した。奪ったキャッシュカードで現金を引き出そうと近くのスーパーへ向かったが、暗証番号が違ったため失敗した。(無期懲役判決リスト 2008)
公判前整理手続きで、争点は〈1〉殺意の有無〈2〉責任能力の有無〈3〉情状面に絞られた。 2008年7月14日の初公判において、清田被告は罪状認否で「殺すつもりはありませんでした。それ以外はその通りです」とし、強盗は認めたが、殺意は否認した。 検察側は冒頭陳述で、清田被告が強盗などを繰り返した動機として、「パチンコにのめり込んで金を借り、自己破産後もヤミ金融から借金した。犯行は返済のためだったが、奪った金で性風俗にも通っていた」と指摘した。女性殺害については、「声を上げて激しく抵抗され、『殺すしかない』と殺害を決意し、動かなくなるまで力いっぱい絞め続けた」と明確な殺意を強調。「精神科への入院・通院歴などは一切ない。一連の犯行時に完全責任能力があった」と続けた。また検察側は証拠調べ手続きで、女性の家族3人の供述調書を朗読。3人とも「死刑以外に考えられない」と結んだ。 弁護側は冒頭陳述で、「殺意があればヒモなどを使うはずだが、多くは片手で押さえただけ」として殺意を否定。「『騒がれては困る。早く逃げたい』との気持ちだけだった。強く、長い時間押さえてしまったため、不幸な結果に至った」と主張した。また清田被告の生い立ちや生活にも触れ、「両親が借財を残して焼身自殺するなど、過酷な生活で精神を病んでいた可能性がある。パチンコに通い始めたのも、『少しでも稼いで(借金を)穴埋めしたい』という思いだった」などと述べ、精神鑑定と情状鑑定を行うよう求めた。 9月19日の公判では、弁護側が請求した取り調べ時の録画映像(DVD)が上映された。弁護側は、DVDで清田被告が「(供述調書にある)手加減せず首を締めたという話はしたことはない」「意図的に殺すつもりはなかった」と検察官に述べていることを指摘、調書に信用性がないと主張。清田被告は「自分の命をもって死刑となって償いたい」と涙をぬぐいながら述べた。ただ、DVDは録音状態が悪く音声が聞き取れない部分が多かったため、弁護側がDVDを停止して清田被告に当時のやり取りを説明させながら立証することになった。さいたま地裁で取り調べ映像が上映されたのは初めて。 10月27日の論告で検察側は「犯行は計画的で常習性もある」と指摘。「長時間強い力で首を圧迫しており、殺意は明らか。犯行形態が徐々に悪質化し、地域に与えた恐怖感は大きい」「矯正の余地はなく、再犯の可能性が高い」と指摘した。求刑に先立ち行われた遺族の意見陳述では、父親が「娘の命を奪う権利が被告にあったのか。死刑を求める遺族の気持ちに変わりはない」と訴えた。同日の最終弁論で、弁護側は最終弁論で、「声を出すのをやめさせようと首を絞めただけで、殺意はなかった。借金返済に追われながら障害を持つ息子の養育をこなして働くなど、人に言えない苦しみは並大抵のものではなかった」と情状酌量を求めた。 判決で中谷裁判長は「のどや胸を長い時間圧迫しており、確定的殺意を優に推認できる」と殺意を認定。その上で「借金を重ねて遊興費などに使い尽くした揚げ句、金欲しさから次々と重大犯罪に手を染め、ついには人命を奪った。殺人事件に至るまでに住居侵入などの犯行も重ねていて、犯罪傾向が強まっている。卑劣で残虐極まりない」と指弾。「一連の犯行は比較的狭い地域で敢行され、1人暮らしの女性に不安感を与えるなど社会への悪影響も軽視できない」とした。(無期懲役判決リスト 2008)

  • 最終更新:2010-08-04 01:59:08

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