青森県八戸市の無職五戸重雄(ごのへしげお)被告は2007年12月18日午前7時ごろ、八戸市の自宅で寝ていた父(当時76)の頭や胸などをハンマー(長さ87.5cm、重さ4.7kg)で何度も殴って殺し、現金約24,000円とローンカード1枚を奪い、水の張った1階浴槽内に遺体を隠した。また後日、奪ったカードで現金計173万円を引き出した。五戸重雄被告は2007年9月下旬まで父親と同居していたが、トラブルを起こし、父親の口座から約128万円を引き出して家出。その後、金に困って同日早朝に帰宅し、犯行に及んだ。五戸重雄被告は事件前から定職に就かずパチンコなどを繰り返しては、父親の預金を数回、計400万円を勝手に引き出していた。犯行後は遺体と一緒に生活し、遺体のにおいを消すため、遺棄現場の浴室に芳香剤を置いたり、発覚を遅らせるために新聞を取り込んだりしていた。親類やヘルパーからの電話には、「(父は)旅行に行っている」とうそをついていたが、1月5日夕に外出先から帰宅すると、親類の車が家の前にあったため、逃走した。遺体は午後5時半ごろ、訪ねてきた親戚数人が発見した。五戸被告は遺体が見つかった直後、約43万円を持って青森市に逃走。翌日に新潟市に向かい、更に金沢市へ逃走。市内の安宿を転々としていた。八戸署捜査本部は1月28日、五戸被告について死体遺棄容疑で逮捕状を取り、全国に指名手配した。2月17日、同市内のパチンコ店の休憩所にいた五戸被告を警戒中の石川県警の捜査員が発見。名前を確認したところ、「そうです」と素直に応じたため逮捕した。逮捕時の所持金は百数十円しかなかった。 五戸被告は高校中退後、水産会社に就職して漁師に。3年働いて退職。土建会社やイカ釣りの遠洋漁業、パチンコ店などを転々としたが、いずれも長くは続かなかった。1995年に結婚。3児をもうけたが、2003年には父親の預金を無断で引き出し家出。金に困っては事件を繰り返した。公判で検察側は殺人事件を起こす引き金ともなった被告のパチンコやスナック通いについて、年収が700万円の時もあったという漁師時代の「思い切り金を使うクセが抜けなかった」と指摘している。(無期懲役判決リスト2009年度) |