2007.12.28 パチンコやめられず、父を殺害し金奪う

青森県八戸市の無職五戸重雄(ごのへしげお)被告は2007年12月18日午前7時ごろ、八戸市の自宅で寝ていた父(当時76)の頭や胸などをハンマー(長さ87.5cm、重さ4.7kg)で何度も殴って殺し、現金約24,000円とローンカード1枚を奪い、水の張った1階浴槽内に遺体を隠した。また後日、奪ったカードで現金計173万円を引き出した。五戸重雄被告は2007年9月下旬まで父親と同居していたが、トラブルを起こし、父親の口座から約128万円を引き出して家出。その後、金に困って同日早朝に帰宅し、犯行に及んだ。五戸重雄被告は事件前から定職に就かずパチンコなどを繰り返しては、父親の預金を数回、計400万円を勝手に引き出していた。犯行後は遺体と一緒に生活し、遺体のにおいを消すため、遺棄現場の浴室に芳香剤を置いたり、発覚を遅らせるために新聞を取り込んだりしていた。親類やヘルパーからの電話には、「(父は)旅行に行っている」とうそをついていたが、1月5日夕に外出先から帰宅すると、親類の車が家の前にあったため、逃走した。遺体は午後5時半ごろ、訪ねてきた親戚数人が発見した。五戸被告は遺体が見つかった直後、約43万円を持って青森市に逃走。翌日に新潟市に向かい、更に金沢市へ逃走。市内の安宿を転々としていた。八戸署捜査本部は1月28日、五戸被告について死体遺棄容疑で逮捕状を取り、全国に指名手配した。2月17日、同市内のパチンコ店の休憩所にいた五戸被告を警戒中の石川県警の捜査員が発見。名前を確認したところ、「そうです」と素直に応じたため逮捕した。逮捕時の所持金は百数十円しかなかった。 五戸被告は高校中退後、水産会社に就職して漁師に。3年働いて退職。土建会社やイカ釣りの遠洋漁業、パチンコ店などを転々としたが、いずれも長くは続かなかった。1995年に結婚。3児をもうけたが、2003年には父親の預金を無断で引き出し家出。金に困っては事件を繰り返した。公判で検察側は殺人事件を起こす引き金ともなった被告のパチンコやスナック通いについて、年収が700万円の時もあったという漁師時代の「思い切り金を使うクセが抜けなかった」と指摘している。(無期懲役判決リスト2009年度)
検察側は量刑不当を理由に控訴した。2009年3月16日の控訴審初公判で、検察、弁護側とも事件の内容については争わず、量刑についてそれぞれ意見陳述。検察側は、死刑適用の基準となる「永山基準」から導いた一審判決について、「死刑が回避される有利な事情がなければ、基準を過度に重視すべきではない」と強調。「遊ぶ金欲しさに父親を殺害した冷酷で非道な犯行。被告は一審で『反省の気持ちがわかない』などと述べており、更生の兆しはない」と訴えた。これに対し、弁護側は「被害者の数を考慮することには十分な理由がある。幼少、少年期に不遇な面もあり、基準に照らし、死刑選択が許される事案ではない」とし、「ほかの例を参考に、結果の重大性などを見ても控訴は棄却されるべき」と主張した。判決で志田裁判長は「殺害方法は残虐非道で、被告の親族も死刑を希望している」とした。一方で、被害者が1人で場当たり的な犯行であることを指摘。被告が「遺族に謝罪の手紙を出さなければ」などと述べている点も挙げ、「更生意欲を持つ兆しが見られる」として死刑回避の理由とした。(無期懲役判決リスト2009年度)

  • 最終更新:2010-08-03 01:07:48

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