2008.06.23 遊ぶ金欲しさに強盗殺人、盗んだ金は食事やパチンコに

住所不定、無職少年(事件当時18)は2008年6月23日午後8時頃、三重県熊野市に住む会社員女性(当時47)の自宅で、女性の首を包丁で刺し、ダンベルのバーで頭を殴るなどして殺害、財布から現金約108,000円を奪った。6月26日午後2時10分頃、女性宅を訪れた次女(当時22)が発見。熊野署に通報した。少年は女性の三女(当時19)と交際しており、以前から女性宅に出入りしていた。事件後、少年は三女と23、24日と外泊。25日は女性宅に泊まったが、三女は遺体に気付かなかった。26日、愛知県までドライブしたところを捜査員に見つかり、容疑を認め逮捕された。少年は2008年2月、御浜町の友人宅で現金約15万円を盗んだ。少年は2008年6月、携帯電話のインターネットオークションを通じ、オートバイを売却する名目で、大分県の男性から49370円をだまし取った。盗んだ金は食事やパチンコ代に、詐取した金は遊興費や交際女性へのプレゼントに使ったとされる。(無期懲役判決リスト2009年度)
津地検は2008年7月17日、強盗殺人の非行事実で少年を津家裁に送致した。「刑事処分相当」の意見を付けた。家裁は同日、2週間の観護措置を決定し、少年を津少年鑑別所に収容。少年審判開始も決定した。津家裁(下山保男裁判長)は8月12日、少年を検察官送致(逆送)する決定を出した。下山裁判長は「犯行は計画的で、執拗かつ残忍。刑事処分が相当」と指摘した。11月17日の初公判で、少年は起訴事実のうち殺害は認めたが「お金を取るっていう目的じゃない」と強盗目的は否認した。検察側は冒頭陳述で、少年が6月18日ごろ、金を盗むため女性方を物色し、さらにかつての交際相手との間に生まれた男児の養育費や遊興費に困窮していたとして、「犯行は金目的」と指摘した。弁護側は「女性に『早く家から出て行って』などと言われ、いなくなればいいと思ったのが動機。殺害後に金を奪おうと思いついた」とし、強盗殺人罪ではなく、殺人罪と窃盗罪を主張。そのうえで、「当時、心的外傷後ストレス障害で情緒不安定だった」として情状酌量を求めた。12月10日の第3回公判で、検察側が少年を窃盗と詐欺罪で追起訴したことを明らかにした。少年は起訴事実を全面的に認めた。少年は被告人質問で、以前にも同様手口の詐欺で約10万円を得ていたと述べた。12月26日の論告で検察側は「犯行は計画的で残虐。酌量の余地はない」と指摘。弁護側は最終弁論で「殺害は金品が目的ではない。同居する被害者に気まずさを感じ、いなくなってほしいと思い殺害した」とあらためて強盗目的を否認した。判決で山本裁判長は「(少年が)経済的に窮していたことや(金を奪う目的で殺害したとの)捜査段階の供述にも信用性が認められる」として、強盗殺人罪の成立を認定した。そして「被害者の生存を装うメールを被害者家族に送るなど、隠蔽工作を重ねており悪質」と指摘した。(無期懲役判決リスト2009年度)

  • 最終更新:2010-08-03 00:40:06

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